目次
『書評・感想』 タイトル 考えてるつもり 〜「状況」に流されまくる人たちの心理学〜
状況次第で人は変わる
これが科学的に証明されています。
ある実験で、4人に3人が間違っていると分かっていながら、間違った回答をした。
なぜこんなことが起こるのか?
この本では、そのような回答を事例を用いて紹介しています。
この本は、人生の教訓になり、公私ともに人生の利益をもたらしてくれるだろう
こんな人におすすめ
◆ 人間関係で悩んでいる人
◆ 自分らしく生きたいと思っている人
「状況」で人が変わると理解すれば、他人の行動にイライラしなくなります。
つまり、「状況」の影響を正しく理解すれば、人間関係の悩みを解消できるのです。
また「状況」を正しく理解できれば、自分らしく生きることができます。
いかに自分が「考えてるつもり」になっていたかわかると、「状況」に流されず、自分らしく生活できるようになります。
おすすめ度 ★★★★★
読みやすさ ★★★☆☆
読み終えるまでの時間 4時間
この本で学べること
- 自分自身や周りの人を深く理解できるようになり、人間関係をよくする方法
- 「状況」に流されにくく、自分の信念を貫けるようになる方法
- 自分らしく生きる方法
- 社会にとって、良いことをできるようになる
この本の内容
こうして「人助け」をしなくなる
人間は、ある「状況」になると「人助け」をしなくなる。
それは、その人の性格や人格は関係ない。要因はたった1つ「状況」だけ
その「状況」というのは以下のようなことだ
◆ 自分が急いでいたかどうか
◆ 周りに他人が何人いたかどうか
◆ その時の自分の気分はどうだったか
結構ショッキングだと思うが、これは実験で示されている。
プリンストン大学の実験
被験者の学生が大学構内の別の建物に出かけで、あるテーマについて短いスピーチをするよう指示される。
地図を片手にその建物に向かう途中、戸口でうずくまっている男性(仕掛け人)に出会う。
被験者が通るたび、仕掛け人は指示された通り、目を閉じてうめき声を上げ、2度咳をする。
結果を見ると、何らかの形で男性を助けようとした人は40%にとどまった。
ここでさらに、会場に向かう前に、時間に余裕があると言われた被験者は63%手を貸したが、急ぐように言われた被験者は10%しか声をかけなかった。
さらに驚くべきことは、この学生は神学部(将来、聖職となり人を助ける職業)の学生だったのだ。
つまり、この実験から言えることは2つ
- 人助けをする行為は、性格・人格は関係ない
- 人を助ける要因は、急いでいたかによる
「状況」によって「人助け」をしなくなる2つ理由
①不特定多数の人が周りにいると、「社会的手抜き」と呼ばれる現象が起こるためだ。
何かの行為に関わる人数が増えるほど、「他の誰かがやるだろう」と責任を放棄するのだ。
②もう1つは「人助け」の判断の根底には、無意識にしろ、損得勘定が働くため。
これは不快な気持ちになるが、現実はそうなっている。
「状況」に流されないための方法
「状況」で人間が変わってしまうと理解すること
これを自覚するだけで、自分の行動は変わる。変えざるを得なくなる。
上の例のような似た場面に出くわしたら、無意識に「状況」に流されてはダメだ。と思うはずだ。
この実験データを知っていれば、自分が人助けができなかったダメな人間なんだ…と自己嫌悪に陥る必要はない。「状況」によって人の行動は変わるからだ。
また、友達・家族が同じように人助けをしていなかった。あいつは性格が悪いやつだ。とは思わなくなるだろう。
相手の立場になって考える
上の例で言うと、「人助け」をしなかった人は、他の重要な事情があったからできなかっただけ。
時間に余裕がある人は、実際に63%の人が「人助け」をやっている。
その事情を考えず、「見たまんま」で判断してしまうと、その人との関係は悪くなるだろう
性格・人格のせいにしてはいけない
筆者情報
著者:サム・サマーズ
タフツ大学心理学部教授。社会心理学者で、専門は偏見、ステレオタイプなどの研究で有名。報道番組やラジオ番組で多数のメディアで紹介されている。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
まだまだ紹介仕切れない素晴らしいことがこの本には詰まっています。
他にも紹介しておきます
「周りの意見」に流され、間違っていると知っていても、間違った回答をしてしまう。
なぜなら、波風を立てず、周りに流された方が楽だから。
人は楽な方に流れてしまうため、周りに合わせた回答をしてしまうのだ。
このように、たくさんの実験からなぜそうなるのかを示しているのがこの本のいいところ。
自分たちがいかに「考えてるつもり」で生活しているのかがわかり、若干落ち込んだりするかもしれません。
しかし、悲観することはないです。「状況」によって、人は変わるんだな〜とわかるだけで、自分の行動は変わるから。
この本を何回も読めば、「状況」で人は変わるんだと認識できます。